
心気症
私は、今は体に何らかの変調を感じても、あまり不安にはならない。でも少年の頃、自分の体の異常に対してとても神経質だった。少しでも身体に異常があると、死に結びつく病に勝手に関連づけて 強い不安に揺すられたことを思い出す。まるでこれまで自分の足を載せていた床が、消えて眼下に底のない黒い淵が現れたような恐さだった。その淵に落ちてしまうと 二度と這い上がることはできないように思われた。虚無感と結びついていて、自分の存在になんの意味も見出せなかった。底なしの淵に一度落ちてしまえば 意味のない永遠の虚無の中に消えていくだけだった。
変化は、自分の体というか存在が 宇宙と別に存在している訳ではなく 肉体としても精神としても大宇宙の一部として存在していることを 実感し始めた頃から起き始めた。大宇宙の一部であるのなら、自分の肉体もミクロコスモスであり、自分の肉体と宇宙はつながっている。だから、必要であれば、自分の意識を宇宙の意識に合わせれば、必要な癒しのエネルギーは 与えられる確信を持てた。
そのような確信を持ててから 自分の肉体の不調に一喜一憂することは少なくなった。全て必要であれば宇宙から与えられるであろうし、必要でなければ消えてゆくだけのこと・・心を宇宙の波動に合わせれば 肉体は自ずから癒されていく。小さな自我意識で悩んだところで 有害無益でしかない。あるがままの存在として 本来予定された位置に立てばいいだけのこと・・力んで小さな自分の不安をどうにかしようとしても 虚しいだけに終わる。本来予定された自分の姿に 肉体も精神も戻ればいいだけのこと。故郷である宇宙に 自分の精神と肉体の在り方を合わせていけばいいだけのこと。要らぬ心配をしても 自然治癒力を低下させるだけだ・・・・・・在るがままにあること 当たり前のことだけど、心気症から自由になる道は シンプルな道である。