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    3年の月日が過ぎて



         
     この10月24日で、このクリニックも3歳になる。まだ赤ちゃんだ。この場でスタッフと 感情的に対立しそうになったこともある。この場で、話したこと、それは、彼女たちの家庭の事だったかもしれないし、僕の個人的な事象だったかも知れない。でも3年という時の中で、喜びも涙もあった。みんな変わったと思う。変わることを促してくれたのは、このクリニックに来て 自らの人生の悲しみや喜びについて 語ってくれた人たちだ。変わったといっても 大きく変わった訳ではない。患者さんとの出会いの中で 自分の未熟さや、偏りについて少しずつ気がついてきたという感じかな・・・でもたとえ小さな気づきであっても その小さな変化はとても嬉しい変化だと思う。一日の変化は、わずかであっても、その日々が積み重ねられることで、大きな変革に導かれる。スタッフに内的な変化が訪れることは、即、このクリニックが発しているエネルギーの質が変わるということ・・それがどれだけ素晴らしいことであるか、患者さんの内的成長と 私を含めてクリニックのスタッフの内的成長とは、平行して起こる。

     この3年という時間の中で、スタッフは院長である私にとって 家族のような存在になりつつある。或る人は妹のようであり、或る人は弟のようでのある。人間の内面が深化することで この場が持つ力が増大する。電話の応対から始まり、受付での対応、診察室の中での出会い・・・自分の心や身体が疲れていると それなりの出会いしかこの場に現成できない。僕の心が透明で向かうべき道がはっきりとイメージされていれば、そこには予定された出会いが現成するだろう。

     でも今の僕は汚れているし、疲れてもいる。だから出会いをごまかしている。慣性力を使って何とか乗り切っている感じだ。こんな表面的な出会いが 本来予定された出会いとは思わないが、疲れている時は それなりの出会いで纏(まと)めるのも仕方ないのかも知れない。

     キラキラするような出会いって どうしたらこの場に現成するのだろう。鬱(うつ)の人がよく言う。「先生、朝起きても身体が重いし、布団から出たくないんですよ。会社のこと考えただけで 気分が悪くなるんです。」その気持ちが分らんでもない。僕も軽い鬱(うつ)なんでしょう。この何カ月かスッキリした気分で起きたことがない。でもそのような慢性疲労状態に慣れているので、別段辛いとは思わない。

     スッキリした朝が、いつか迎えられたら素敵だろうけど、いつのことやら・・・特に期待もしていない。この慢性疲労状態が僕の日常なんだから、それはそれでいいや。今日も最後に仕事を終えて 急いで来てくれたAさんに「きつい時は、どんな工夫をしていますか?」などと主客逆転の質問を浴びせかける始末・・・情けない精神科医だけど、これが現状。患者さんからも体験やノウハウを盗もうとする。でも働きながら 鬱(うつ)に苦しんでいる人が伝えてくれる智慧は 大きいし有益である。彼は、鬱(うつ)の中にありながら、何とかその状況から脱しようと必死である。フラフラしながらも彼の生きる姿は美しい。かっこいいとは言えないが、泥臭くて人間味を感じる。そんな彼らと一緒に悩む日々がいい。
    プロフィール
    福岡市中央区天神 心療内科 精神科
    心のクリニック新しい風
    http://atarashiikaze.com

    精神科医ギル

    Author:精神科医ギル
    こんにちわ 私は 一人の精神科医です 同時に一人の患者です
    心に浮かぶままに ブログを書いていきます よろしくお願いします

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