
限られた時間の中で
今日は、予定していた以上の患者さんが来院された。それは、経営者としての私には ありがたいことである。でも大きな深い苦悩を抱きながら、このクリニックを訪れる人にとっては、必ずしも歓迎すべき現実ではない。今日は僕が風邪を引いていたこともあり、マスクを装着していた。気が落ちている患者さんも多く、被害妄想を抱いて クリニックに来院される人もいる。そのような患者さんにとってマスクをした医師は あまり良い印象は与えないと思う。自分の中にそのような恐れがある為に、診療に集中することを妨げられる。加えて深い苦悩を抱いて やっとの想いでこのクリニックに辿りついた患者さんに「ごめん 今日は十分な時間を取れない・・・」類の拒絶とも受け取れる言葉を 伝えなければならない。とても苦しい。その患者さんが、クリニックから帰途に就く時、恐らく何の解決も安らぎも持って帰れない。
患者さんも苦しいし、何とかしたい僕も苦しい。でも時間が限られている以上、妥協するしかない。無理を言って時間外まで開けてもらっている調剤薬局のスタッフに申し訳ないし、クリニックのスタッフも自分の生活があり 個人としての計画があるだろう。だからそれ以上 診察時間を延ばす訳にいかない。患者さんの数を増やすことには、本当に慎重な配慮が必要だと痛感した。もしできるとしたら 僕との長い対話を必要とせず 薬だけで安定している患者さんの診療時間を短縮することで 対話を必要としている患者さんに割ける時間を増やすこと位である。