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    診療について

     或る病院で、1日だけ外来診療をしている。初めは余り患者さんの数も多くなく、或る程度、診療に時間を割けた。しかし、徐々に来院される患者さんの数が増えてきて、許された時間内で 50~60人の患者さんに会うことも多い。正直に言ってまともな診療にはならない。紹介で来られた患者さんを 3時間近くも待たせた挙句、5分そこそこの診療で終わらせなければ、時間内に来院している患者さん全てに お会いすることができない。

     患者さんにとっても不満だろうし、5分しか時間を割けない私にとっても とてもストレスがたまる現実である。多くの患者さんが来て下さることは 嬉しいことであるし、経営的には、ありがたいことである。でも本当に良い精神科医療を目指して開業した私にとって、それは何の意味もない。寧ろ、十分な診療時間を割けないことは 苦痛以外の何物でもないし、自分が目指す 出会いの医療の否定でしかないような気がする。

     こんな場合 どのような方法を考えればいいのだろうか?経営を無視する訳にはいかない。でも癒しとは程遠い医療は、私に必要以上の疲弊感をもたらすだけに終わる。十分な時間を取ってその人に会いたいし、精神的な余裕の中でその人の抱えている痛みに触れていきたい。共にその人が抱えている苦しみや痛みについて その解決への道を探していきたい。勿論、この大変に多忙な時代の中に在って、限られた時間を如何に有効に活用していくのかは、共通のテーマではある。その限られた時間の中で どうしたらその人の深みにアクセスできるのか?

     精神科医の心が透明で集中されている必要がある。散漫な意識の中では、短時間でその患者さんの深みに 触れることは叶わない。その意味でも知的にのみでなく、内面の感受性をいつも高めていることの重要性を痛感する。
    プロフィール
    福岡市中央区天神 心療内科 精神科
    心のクリニック新しい風
    http://atarashiikaze.com

    精神科医ギル

    Author:精神科医ギル
    こんにちわ 私は 一人の精神科医です 同時に一人の患者です
    心に浮かぶままに ブログを書いていきます よろしくお願いします

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