
憎しみを引き受けるということ
限られた時間の中で 多くの患者さんと出会う せいぜい長くて30分程度の診療時間しか取れない 一日に40~50人の外来患者が来る病院では もっと時間は厳しいかも知れない その限られた時間の中で難しい人格障害の患者さんとも出会わなければならない 勿論カウンセラーにも御願いして響働するが それでも十分な治療は難しい
でも患者さんの家族にとっては 大切な患者さんが ないがしろにされているとしか恐らく見えないだろう 十分な時間も家族への説明も不十分だと責められるかも知れない 人格障害の患者さんの治療に於いて 治療者が感謝されることはあまり無い その人を支えるだけで精一杯のことが殆どだから 家族にしては そんな怠慢な治療者は許せないかも知れない しかも行動化を起こして入院したりすると 治療の過程では避けることのできない痛みなんだけど 家族には治療者の怠慢が引き起こしたものとしか受け止められない そして治療者に不信感を抱く家族が多い
家族の立場になったらやむを得ない感じ方なのだろうけど 長い時間を支えてきた 患者に同伴してきた治療者にとっては 悲しい でも感謝や理解を患者や家族に求めることは 虚しいことかも知れない たとえ長い治療の結果が思わしくなくても この程度の時間と心のエネルギーしか現状では割けない 責められても仕方ない それが 限られた時間の中で人格障害の患者さんの治療を引き受けた者の宿命なのかも知れない
まだ 終わった訳ではない 確かに自分の努力が足りなかったし家族や 臨床心理士との響働が十分でなかった それは率直に認める でも僕も生身の人間だから 今以上の時間を特定の患者さんだけに割くことは出来ない もう一度 初めからやり直し 治療契約から始める 使える家族の力は使わしてもらう 憎しみを引き受けるのも精神科医の仕事なのだろうな
でも患者さんの家族にとっては 大切な患者さんが ないがしろにされているとしか恐らく見えないだろう 十分な時間も家族への説明も不十分だと責められるかも知れない 人格障害の患者さんの治療に於いて 治療者が感謝されることはあまり無い その人を支えるだけで精一杯のことが殆どだから 家族にしては そんな怠慢な治療者は許せないかも知れない しかも行動化を起こして入院したりすると 治療の過程では避けることのできない痛みなんだけど 家族には治療者の怠慢が引き起こしたものとしか受け止められない そして治療者に不信感を抱く家族が多い
家族の立場になったらやむを得ない感じ方なのだろうけど 長い時間を支えてきた 患者に同伴してきた治療者にとっては 悲しい でも感謝や理解を患者や家族に求めることは 虚しいことかも知れない たとえ長い治療の結果が思わしくなくても この程度の時間と心のエネルギーしか現状では割けない 責められても仕方ない それが 限られた時間の中で人格障害の患者さんの治療を引き受けた者の宿命なのかも知れない
まだ 終わった訳ではない 確かに自分の努力が足りなかったし家族や 臨床心理士との響働が十分でなかった それは率直に認める でも僕も生身の人間だから 今以上の時間を特定の患者さんだけに割くことは出来ない もう一度 初めからやり直し 治療契約から始める 使える家族の力は使わしてもらう 憎しみを引き受けるのも精神科医の仕事なのだろうな