
その後
朝は ニヒリズムのエネルギーに心が侵されて まともな診療に向かえないのではないかと心配した でも現実に苦しんでいる患者さんが目の前に次々と現れると 自分のニヒリズムに浸っているような余裕が無くなった 泣きながらどうしていいか分らず 途方に暮れている人を目の前にしたら 幾らニヒリズムが云々と言っても そんなこと考えている場合じゃない
目の前に苦しんでいる人がいるならば ニヒリズムが消えるわけではないけど できるだけの援助を尽くしたい気持ちになる ニヒリズムもこちらの気持ちも 僕の心のエネルギーの一部なんだろう どんなに理屈を言っていても 目の前に苦しんでいる人がいたら人は 自然に「何とかしてあげたい」と思うものらしい ニヒリズムを抱いた精神科医も仕方ないのかも知れない