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    謝罪

     かなり前、或る病院で 海に飛び込んで外来に連れてこられたAちゃんに初めて会った 苛めやその他の傷つきの中で彼女は苦しんで自殺企図が時々あった まだ10代であったので緊急の時の為に 彼女と彼女の父親に僕の携帯電話の番号を教えた そんな行為が 精神療法をやっている精神科医に許されない行為であり逸脱であることはよく分かっていた でも海水で濡れた彼女の姿に接して その時はどうしてもそうしてしまった

     その後 ときたま彼女から 症状についての電話がかかるようになった しばらく経ってから「これでは 彼女が自分で抱えるべき問題を 安易に僕に投げ込ませて僕の解答を得ることで 彼女の内面の成長が阻害されてしまう」と思うようになった 彼女の電話に優しく誠実に答えようとすればするほど 彼女が自分で抱え解決すべき問題を 僕の方に投げ込ませることになると危惧した 孤独なAちゃんにとって 主治医との電話を通しての会話が支えになっていることは痛い程よく分かっていた 本来なら彼女が感じる苦しみや悩みはセッティングされたカウンセリングや精神療法の場に持ち込みそこでのみ扱われるべきもの  その間はAちゃんが自分の心にその重さを持ちこたえなければいけない そうしないと 彼女の心の力が育たないからだ

     「ここでAちゃんに携帯電話を通しては話さないことを告げたら 多分拒絶されたと受け取るだろう でもこのまま友達のように自分が話したい時に主治医に電話してその気持ちを聞いてもらうことを続けることは 彼女の為にならない」そう考えてAちゃんにその旨を伝えた 彼女にとっては 主治医から電話を拒否されたと受け取っても不思議はないし可哀想だとも思った

     確かに僕の準備が足りなかったしお父さんにも僕が何故そのようにするのかを説明しないまま彼女だけに 携帯電話での会話を終えることだけを伝えてしまった 後で何を言おうと言い訳にしか聞こえないだろうことは分かっている でも一言謝りたかった Aちゃんがこの文章を読むことはないのかも知れないけど未熟な主治医が傷つけてしまったAちゃんの心に伝えたかった
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    プロフィール
    福岡市中央区天神 心療内科 精神科
    心のクリニック新しい風
    http://atarashiikaze.com

    精神科医ギル

    Author:精神科医ギル
    こんにちわ 私は 一人の精神科医です 同時に一人の患者です
    心に浮かぶままに ブログを書いていきます よろしくお願いします

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