朝早く クリニックのある街まで車で行く。古いシティホテルの傍に車を止めて、コンビニで購入したばかりのコーヒーを味わいながら 早朝の街が時間と共に変化してゆく姿を楽しんでいる。新聞配達の初老のおじさんが、自転車で僕の傍らを走ってゆく。時に自転車を止めて、敷石の上に腰かけて休んだりする。こんなに遅い新聞配達でいいのだろうか?と首をひねりたくなる。なんとも不思議な街だ。
タクシーが僕の車の前にハザードを点滅させて止まる。運転手さんが、降りてきて、目の前にある自動販売機からコーヒーを120円で買って タクシーに戻り車の中で疲れを癒すように飲んでいる。こんな何気ない街の風景に 人間の愛しさを感じる僕がいる。みんなたとえ間違えていたとしても、幸せになりたくて彼なりに努力している。そんな市井の人たちの日常の姿が やけに愛しい。なんの変哲もない街、なんの変わりもない朝の風景、でもそこに人間への切ない程の郷愁を感じてしまう。
人間て弱くて自分勝手で怠け者で、どうしようもない程無知だけど、そんな人間がとても愛しい。繰り返される朝の風景に映し出される人々の喜びと悲しみ、願いと失望・・・小さな想いの一つ一つが とてつもなく大切で抱きしめたくなる程、愛しいと感じられる。僕も一人の人間として 限りある時を生きている。
スポンサーサイト