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    うつ病の治療に関わって

     最近、うつで来院する人が確かに増加している。その人達の治療に関わる中で 感じていることを少しだけ書いてみたい。

     会社で働いている人の場合は、休業中の時間の過ごし方がとても大切なポイントになる。以前にも言ったことだが、休職している人には、原則として会社からの連絡はしない方が治療的である。本人しか分からない内容もあるでしょうから、その時は、直接本人に連絡することを避けて、家族や知人を介して伝達することが望ましい。

     初めの頃、かなり抑うつ感や不安感が強いし「この病気は治るのだろうか?」という不安が強い。その不安を先ず払拭してあげることから始める。

     その為には、勿論本人の気持ちをじっくり聞くことから始めるが、気分が落ちたままでは、治療者の言葉もなかなか入っていかないことが多い。幾つかの即効性の薬を試してみることが多い。その薬が本人に合っていれば、すぐにでもかなり気分が良くなり、不安感も軽減する。その状態に持っていってから、いろいろ聞きながらこちらの視点も導入してゆく。

     先ず、苦しんでいる内容を徹底的に吐かせる。それだけでもかなり気分が楽になる。そのような時間を暫く過ごした後で、休養が必要な人はどの様に休養すれば有効か 一緒に考える。家にじっとしているだけでは、ゆっくりできない人もおり、ストレスケア病棟に入院した方が ゆったりできる人もいる。最低でも2~3か月の休養を勧めるが、平均では、6か月位になる。

     この休養期間に 何故どのような状況や自分の感じ方でうつ病になったのかを 精神療法的アプローチを通して共に考えていく。今流行りの「認知療法」も使うが、名前がいかめしい為に、難しい内容に思えるかもしれないが、要するにこれまでの自分の感じ方、行動の仕方など、固まってしまっている世界や人、事態に対する関わり方を意識化して もっと違う新しい感じ方や行為の仕方に変革してゆくことでしかない。

     でもこのことは、言うに易く本当に変わることは至難の業である。実際自分がどのように感じ どのように行動しているか見つめてみればいい。殆どの感じ方、行為の在り方が、パターン化しており、それ以外の動きが出来ない。それだけ慣性力に動かされており、これまで生まれてから無自覚に吸い込んできた価値観や行動様式を変革することは、大変な時間とエネルギーが必要である。でも一番大切なのは、「何が何でも 自分は新しい自分に変わってゆくんだ!」という強い信念だと思う。

     もう一つ言いたいことがある。殆どの人は「会社を休ませてもらっているのだから、家にじっとしていて外に出たり、旅行したりしてはいけない」と思っている。でも少し元気になれば海外旅行もするし、温泉にいったり、いろいろ楽しいことをする方が治療的である。だから、ある程度元気になった人には、積極的に外に出たりして 生活をエンジョイすることを勧めている。実際かなり効果があるし、新しい風を受けて感じ方が変わることも多い。人によっては、うつ症状そのものが消えたりする。エネルギーは無いのではなく 忘れているだけのようである。
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    プロフィール
    福岡市中央区天神 心療内科 精神科
    心のクリニック新しい風
    http://atarashiikaze.com

    精神科医ギル

    Author:精神科医ギル
    こんにちわ 私は 一人の精神科医です 同時に一人の患者です
    心に浮かぶままに ブログを書いていきます よろしくお願いします

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