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    自然に任せる

     疲れ果てて新しい風を受診する人も多い。結構真面目で 責任感の強い人が多いように思える。成績優秀で会社から将来を嘱望されているような人が多い。営業で日本一になったり、若いのに昇進したり・・・会社にいる間 会社を一つの選択肢として見るだけのゆとりがない。「ここを失ったら、自分にはもう行く場所が無いのではないか?ここで休職したら 将来の出世は消えるのではないか?」等いろいろな不安が心を縛り、吐いたり、めまいを感じながらも、会社に行こうとする。

     身体は正直だから、もう限界であることを本人にメッセージしているのに、会社しか見えていない彼(彼女)には届かない。根性論だけで引っ張っていこうとする。或る疲労までなら数日の休養で 少しは疲れが取れるかも知れない。しかし、本当に疲労が極地に達している時は、数日の休みでは疲れは取れない。少なくとも数カ月の休養と加療が必要である。

     そこを覚悟できたら、徐々に見える世界が広がってゆく。会社が全てであった人が 会社が多くの選択肢の一つでしかないことが分かってくる。人生の中にこの出来事も位置付けて考えられるようになる。休養を始めて1か月位は、会社のことが頭から離れない。何を見ても何所にいても 会社のことを考えている。しかもこのような休養の時に 会社の人から電話があったりすると、落ち込みが更にひどくなる。

     2か月を過ぎる頃になると、慢性的な疲れが取れ始め、会社のことも少し客観的に見れるようになる。そうなると、会社に復帰することも義務ではなくなり、人生の道行の選択肢の一つに見え始める。この段階で、これまでの頑なな性格が、かなり融通の利く性格に変わっていったりする。

     勿論、そのプロセスの中でこれまでしがみついていたものの正体を 見破ることができた結果であるが・・・現実に鬱と休養を通して、人間が変わっていった人を何人も見てきた。そのような人達は「この病気になって良かった」と真剣に語る。そこまで行くには、多くの偏見に苦しみ、これまでのプライドを捨ててこなければならなかったと思う。でもギリギリの苦しみと不安の中で 何が一番大切であったのかに気づくことができたんだと思う。病は歓迎すべきものではないが、その人の新しい深化と成長をもたらす可能性を孕んでいる。  
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    プロフィール
    福岡市中央区天神 心療内科 精神科
    心のクリニック新しい風
    http://atarashiikaze.com

    精神科医ギル

    Author:精神科医ギル
    こんにちわ 私は 一人の精神科医です 同時に一人の患者です
    心に浮かぶままに ブログを書いていきます よろしくお願いします

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